結論から言ってしまうと、伊達屋の塩チャーシュウメンは日本一美味しいラーメンである。日本一ということは世界チャンピオンといってもいいしなんなら宇宙最強といっても言い過ぎではない。ビッグバン宇宙理論下において開闢以来ここより美味しいラーメンはこの世に存在しない。……強いて言うなら西日本にも強敵がいるらしいという噂を入手しているので、少し控えめに言うと東日本最強ということにしてもいい。けど、やっぱり日本一だと思うなあ。
伊達屋日本一!

まず伊達屋がどんなお店かについて。場所は福島県の福島駅から飯坂電車に乗って、上松川駅を降りてすぐの県道3号線沿い。目立つのですぐに分かると思う。
初めてきた人は、もし行列がなければここが超絶美味しいラーメン屋さんだということに気がつくのはまず難しいんじゃないかと思う。よくある地方のロードサイドにあるひそやかに営まれているラーメンハウス然とした佇まいで、ここが果たして宇宙最強のラーメン店とは思いもよらないだろう。
だが、それがいいのである。このお店、すべてがこんな調子で、きらびやかさなど皆無でどこにでもありえそうな平凡さを一歩もはみ出すことなく、シレッと日本一というタイトルホルダー(勝手に認定しています)だったりするのである。この気取らなさが、このお店のラーメンを食べた人たちに「本物だ……これこそ本物なんだ……ありがとう……ありがとう」という崇敬の気持ちを抱かせる一因になっていたりもするに違いないのである。

ああ、伊達屋さんなら「日本一でいいやあ」と思わせるもうひとつの要素として、極めて丁寧な接客という点が挙げられる。入店の時点で女将さんから「◯◯さまどうぞ」と店内に招かれ、着座予定の席にはすでにお水が置かれている。注文を奥の大将に伝える際も聞き取りやすいよく通る声で伝えてくれるし、大将もきちんと復唱を返し、ラーメン完成時に「できあがりです」と教えてくれる。食べ終わったら丁寧に「ありがとうございます」とお辞儀までしてくれる。ただでさえ美味しすぎるラーメンでノックアウトした脳みそを優しくときほぐして退店までリリースしてくれるこの気遣い。
お店を出て扉を閉めた人はおおよそこう感じるはずである。「伊達屋日本一!」と。

おすすめは塩チャーシュウメンです
もうひとつ、とか言っておきながら肝心のラーメンについてまだご案内していませんでした、だってしょうがないじゃん……。

今回の注文は「塩チャーシュウメン」にバタートッピング。ちなみにこのバターは「倉敷の美味しいやつ(具体的には知らない)」で、味わいは淡く、全体のバランスを破壊せずに油分の旨味を足してくれるのでおすすめ。
伊達屋は醤油、塩、赤味噌、白味噌の4種類のラーメンがあり、実はお店の自信作は「赤味噌」らしい。個人的なおすすめでもあり、一番人気なのは塩ラーメンになると思われる。伊達屋の旨さをできるだけ原型に近いかたちで味わうなら塩一択というのが通いこんで得た結論。もちろんどれも美味しいです。


麺はやや細めのストレート麺で、あまり個性を感じないもの。ところがこれが……。

スープは地鶏と魚介系を合わせたささ濁りなもので、これが激烈に美味しい。塩味、甘み、酸味、エグみ、旨味すべてのバランスがとれていてかつ濃厚な味わい。ものすごく贅沢なスープです。
いったいどれくらいの原価率なんだろう……ということを他に思わせるのがチャーシュウ。厚切り肩ロースは赤身と脂のバランスが良く、箸でつかむとぷるんぷるんと弾力があり、簡単にほぐれてしまう。どうやってつくっているのかがわからないのだけれど味も染みていて抜群の旨さ。本当に原価率どうなってるの!?!?!?
さてここで無個性の麺とほぐれたチャーシュウをスープと一緒にいただくと、完全に頭がブッ飛ぶ三位一体合法麻薬の完成です。ぐへああぁあぇぇ。
ラーメンの美味しさとは、スープだ、麺だ、といろいろ言われますが、個人的にはチャーシューが添え物扱いされてるんじゃないかなあと常々思うところがあるのですね。伊達屋さんにきて初めて、ああ、こいつはこのために存在しているんだなということをまざまざと突きつけられるわけなのです。
「ぜんぶまとめていっぺんにくえ」
これが答え。
ちなみに伊達屋さんは栃木の野木にある「阿波家」の系列店。阿波屋系列の全店制覇もいずれ達成したいなあ。

チャーシュウ丼は自慢のチャーシュウをほぐしたものがご飯に乗ったもの。もちろん美味しいのは言うまでもないんだけど、人によってはラーメンの感動に集中したいという心を乱してしまうかもしれない。

ごちそうさまでした。


