東京ラーメンといえば醤油ラーメンということになっているけれども、今でも営業しているお店でソレといえるのは荻窪の「春木屋」のこと……つまり煮干しの効いた鶏ガラベーススープのシンプルなラーメン、ということになるのかと思う。強いて言えばもう1店舗、目黒不動前の「かづ屋」もその列に加えてもいいんじゃないかと思う。というのも、かづ屋で修行をしたかづ屋フォロワーのラーメン屋さんは10店舗をくだらず、一大勢力となりつつあるから。今回の「麺屋 悠」もそのうちの1店舗なのです。
濃厚醤油スープにパツパツ麺がそそる

かづ屋の話をもう少し続けると、1989年(平成元年)にオープンした当初と現在とではお店の位置が若干違うことと併せて、ラーメンにも変化が見られる。以前は透明度の高いキレがよくて煮干しがふわっと香るようなスープだったのに対し、現在は薄濁りでキレがなくなりまろやかな旨味のスープに変化している。「麺屋 悠」は現在のかづ屋の味を継承しているものと思われる。
悠の「支那そば」はジェネリックかづ屋といった趣のラーメンで、構成要素はかづ屋と変わらず、スープがさらに丸みを帯びているように感じるといったもの。今回は2度目の訪問で、このスープならつけ麺にするとスープの濃さが増して味がはっきりするのではと予想して「つけそば」を注文。

かづ屋フォロワーなら外せない「チャーシューとワンタン」を足すのも忘れない。かづ屋のチャーシューは「焼豚」と書く本式中華の炙り焼き豚で、煮豚とは味わいがまるで違う。当然悠のチャーシューもほぼ同じものと思われるが、食紅の色味が薄く、仕上げは少し異なる。また、これを提供前に炙って出してくれることで香ばしさが更に加わり、麺に豚の香りがふわっと被さり食欲を刺激する。

スープは予想通り濃いめに煮出したもので「支那そば」に比べて味わい深さが増してはっきりとした味になっている。カウンターから調理の模様が丸見えなため、ドサッと砂糖を入れるシーンを拝むことになるのは御愛嬌。かなり甘めに仕上がったスープに刻んだナルトとネギ、香り付けの柚子皮が乗って、ワンタンはスープに浮かんでいる。ワンタンもかづ屋同様のもので肉肉しい餡がぎゅっと詰まっていて、これが濃い目のスープによく合う。

麺は少し揉んだストレートの細麺で、ぱつっとした歯ごたえが楽しめる。味と香りは特に主張せず、スープの味わいが立つようになっている。ジューシーな炙り焼豚やワンタンといっしょに食べてみるのがおすすめ。豚のクオリティの高さを楽しめる。


