四国の美味しいものといえば、まずそれは十中八九「讃岐うどん」という答えが返ってくるのではないだろうか。え、他にもあるだろって……知らない。
田舎のうどん屋さんよどこまでも
四国屋さんは新中野の駅を出て中野通りを南に進むと、鍋屋横丁との合流地点に目立つ佇まいで看板が出ているので、入ったことがない人でもなんとなく目にして覚えがあるんじゃないかと思う。ボロッボロに古びれた佇まい、黒ずみ擦り切れた入口は場末の居酒屋といった趣で、とてもうどんのお店には見えない。

しかし暖簾をくぐるとそこはもうもうと湯気たちこめるうどん屋さんのソレ。店内ど真ん中にコの字カウンターがあり、がんがんうどんが茹でられている。卓もカウンターも満席で繁盛していて、愛想の良いおやじさんとおかみさんの二人力でテキパキとした働きぶりを眺めながら注文を待つスタイル。
店内のどこを見回しても昭和の面影しかなく、そういう味わいが好きな人にはたまらないんじゃないかと思う。カウンターの上に並んでいる巨大ないなり寿司の存在感が空腹にズシンと響いてくる。
座ると突き出しでお新香の盛り合わせが勝手に出てくる。それも普通の量ではなく、どうみても一品料理だろうこれは……という山盛り。こういう気兼ねのないところも居心地の良さに繋がっていて嬉しくなる。
メニューは温かいうどんとぶっかけ、冷たいうどんがずらり。他に簡単な小皿メニューがあり、軽い居酒屋としても機能している模様。注文は「小ねぎ肉きざみうどん」にしてみた。頼む前は肉うどんなのかと思ったけれど、「きざみ」はきざみ油揚げの様子。手早くどんぶりが並べられ、わしっとうどんをひと掴み大鍋に投入されぐらぐらと茹でられていく。


出てきたうどんも巨大サイズ。何から何までこういう気取らないサービスの良さが人気の秘訣なんだろうなあ。うどんはやや加水率高めでやわらかく、するすると箸が進む。うどんつゆはどっかで味わったことあるなこれというこだわりのない市販品風の家庭の味。すごい美味しいというわけでもなく、これぞ四国のさぬき本場の味! という体でもない。この圧のなさがまた居心地がいいんだろうな。



